911連続テロは許すことができない犯罪である。それは犯罪ゆえに司法が司るものであり、戦争で対処すべきものではない。
テロリストに対処するのと戦争は根本的に異なるはずだ。
イラクやアフガニスタンにおいて世界最強の軍隊米軍が苦慮している例が示すように、テロは力だけで対処しえない。
テロリストとは、長年の苦難が不満となり、そこに付け入るすきがあるからこそ生まれてくるものである。
力の政策と並んで、社会の安定が不可欠である。
今後は、イラクやアフガニスタンのみならず、ソマリア、パキスタン、イエメン、イラン等で、「テロとの戦い」という口実をつけて
力の政策が行使される可能性がある。その場合、日本が果たし得る役割は少なくないはずだが、
どの分野において日本の強みが出せるのかを、テロが生まれてくる環境に配慮した上で検討していく必要があろう。
自衛隊についても、冷静な議論を経たうえで、国民に納得できる必要性を提示しなければならない。
派遣される自衛隊の非を問う傾向が強いように思われるが、自衛隊が派遣の是非を自ら決定できるはずもない。
その前に永田町の非を問い、派遣するのであれば国民が納得する議論を行い、その上で派遣されるのであれば、
後顧の憂い無く自衛隊が活動できるよう、きちんとした法整備を行わなければならない。
たとえば給油支援にしても、議論すべきはパキスタン等の派遣国いかに感謝されたかではなく、
その支援がいかにアフガニスタンの安定に貢献したかでなければならない。